ダンボールボートで海岸

ダンボールボートで海岸

ダンボールボートで海岸

金欠で孤独なボクと美しく勝気なハナと弱気で女装好きのクロの三人の生活物語。
丁寧に世界を述べる語り口だから、日本語がゆらりゆらりと生きている気がする。
三人の失望と三人の幸せと三人の欲望が交差して、ごちゃごちゃに浮かんでる。
けれどそれは生活という名で纏められて、一見透明に映ったりするんだ。
ハナの言う台詞がすごくすごくかっこよくて好きだ。
けれどそれはボクには伝わらない。
幸せになればいいのに、そう願うのは簡単だし、絶対に不可能なことではない。
けれどもボクはそれを選ばない。
ボクの欲望はもうどこか違うところへ向いてしまったから。
そんなボクを全否定できない自分がいるから、きっと、この本が好きなんだと思う。