あるヒーローたちのはなし

BUMP OF CHICKENは、正真正銘すてきなバンドである。
彼らの音楽は、生命力に満ちている。
上っ面だけの励ましの歌詞ではなく、本当の寂しさや苦しさがわかっている励ましの歌詞だから、彼らの音楽は、一見非現実的に見えて、とてつもなく現実的だ。
歌詞がぴたりと音楽とよりそっている。一曲一曲がとても丁寧だ。
彼らは逃げるな、戦え、と大きな音でリスナーに訴える。
どうしようもないな、ひとりぼっちだな、希望がないなあ、と悲しい音で嘆く。
けれど同時に彼らは、ひとりじゃないから、俺たちがいるから、と優しい音で歌う。
その矛盾が、すごくすごくあたたかいとおもう。
人間は確かにひとりで、どうにも希望がなくて、どうしようもなくなってしまう。
けれども人間はそれを認めて立ち向かうべきで、その戦いを応援してくれる人がいるよ、近くにも遠くにも。
BUMP OF CHICKENの音楽は、聴く人を応援してくれる。

すてきどころ
メンバーの四人は皆、幼稚園から幼馴染で、とても仲がいい。
「一番落ち着く時間は?」と聴かれて、「藤くん(ボーカル)といっしょにいるとき」とこたえるチャマ(ベース)。
ものすっごい細い藤くんと増川君(ギター)。折れそうだ。
QUIP MAGAZINEの升くん(ドラム)の連載、「オレ、ひでお」。(命名はなぜかチャマ)
テレビのインタビューで、増川君の膝の上に乗りスーパーマンみたいに体を伸ばす藤くん。
「アルエ」がR.Aの意で、アヤナミ・レイのイニシャルだという、そんな事実。
「青いスカート似合う女の子(アルエ) なぜいつも寂しそうなの」「ハートに巻いた(アルエの)包帯を 僕がゆっくりほどくから」・・・すてきだ。
歩道橋の上でサインを頼まれ、どんどん人が増えていって、「バンプ?え、ダパンプ?」とか言う人も増えてくなかで、「俺踊れねえよ」と思いながらも二時間もサインを書き続けた藤くん。
シークレットトラックの不協和音具合。
総じて、愛に溢れていてちょっと(かなり)気持ち悪いところがすてきだ。

藤くんの歌声がすごく好きだ。
力強く、切なく、必死で、優しく、深い。
ライブだと、語尾の音階をアレンジして唄ったり、歌詞を変えて唄ったりする。
いつかのライブで、藤くんが歌った。
僕らは嫌でも明日を迎えて いつかは昨日を忘れる 
という歌詞を、
僕らは嫌でも明日を迎えて いつかはひとりになるだろう
と。
藤くんはすごく弱いんだなと思った。
すごく弱いということは、すごく強いということだ。

FLAME VEIN

FLAME VEIN

くだらない唄、ダイヤモンド、ハルジオン、キャッチボール、レム