世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

asps2004-10-27


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

世界が終り、始まる話だ。
世界の終りとは始まりであり、けれど世界の終りというものは確かにやってくる。
男は色々なものをひとつずつ、あるいは一気に失いながらも、世界の終りへと進んでいく。
それは彼の意思では無く、抗いようのない流れである。
男は世界なんて終わってしまえばいいと思った。
女は世界の終りがもうすぐやってくるのよと言った。
世界の終り。
そこはとても静かで、とても平和で、とても寂しい場所。
様々な感情が骨と化した場所。
けれども、そこにも確かに感情はあって、
だからそこは、世界の始まりでもあるのだ。
世界はあらゆる啓示に満ちていると男は言う。
太った女、やみくろ、ペーパークリップ、かたつむり、ボブディラン、影、雪の軋み、
なぜだか心にぴたりと張り付いて、あとにはゆるりとした寂寥感が残る。
静かな晴れた冬の休日におすすめの一冊です。