あるロックバンドのはなし

BURNING MOTORS GO LAST HEAVEN [DVD]

BURNING MOTORS GO LAST HEAVEN [DVD]

THEE MICHELLE GUN ELEPHANTは1996年に「世界の終わり」でデビューした。
多くのロックファンを長年魅了し続けたロックバンドであり、
おばさんだってお姉さんだって少年だって、彼らの音楽に夢中になった。
そんな彼らが2003年、解散ライブで、約四万人の観衆の前で、
一番最後に歌った歌が、泣きながら歌った歌が、
今までの全てをこめて歌った歌が、
「世界の終わり」。
ボーカルの深すぎる歌声が、
ミッシェル・ガン・エレファントとしてしぼりだす最後の歌声が、
世界の終わりを待ち焦がれている、と叫ぶ。
ギターとベースとドラムのグルーヴがその空間に充満して、頭から足へと抜けていく。
最後の音が響き渡り、
メンバーの顔は苦しそうで、
ギターの弦が切れていて、
彼らの演奏は終わったんだ、
彼らの演奏を聴くことはもうできないんだ、と、胸がいっぱいになる。

舞台上から彼らは去り、スクリーンに文字が浮かび上がる。

Thank You Rockers I Love You Baby

ライブは終わって、人が流れ、皆がどこか寂しそうな顔で歩く。
落ちた何かを探している人や、携帯電話を見つめている人もいる。
明日朝早いんだよなあ、と友人が呟く。
私たちの人生は明日も続いていくけれど、
彼らの世界は終わったんだ。
隣の誰かが、世界の終わりなんてアタシは待ってない、と言った。