過去が増える

歳月が流れるにつれ、感傷の機会は多くなる。
過去が増えていく。
いとおしい過去は時に、ぞっとする程鋭利な刃物になりうる。
でもそれはミニチュアサイズの刃物で、だから表皮しか傷つけない。
けれど、傷ついた表皮は、ひりひりと痛むのだ。
深い傷よりずっとひりひりと。
瞬間、顔をしかめる。5分後には、痛みは治まると、しっている。