引用、その18

 読書とは、突き詰めていくと、孤独の喜びだと思う。人は誰しも孤独だし、人は独りでは生きていけない。矛盾しているけれど、どちらも本当である。書物というのは、この矛盾がそのまま形になったメディアだと思う。

 いつだって世界は謎に溢れていて、大人になるまでには全ての答えを知ることができると思っていた。必ず謎は解決され、冒険は成功する。『カッレくん』を思い出す時、子供の頃世界に対して感じていた憧れと信頼感が鮮やかに蘇る。

恩田陸著/小説以外/新潮社)