古きに触れるのは善きことか

壁 (新潮文庫)

壁 (新潮文庫)

想像力をかきたて孤独の淵へ突き立たせる。
それは本人の意思ではないかも知れないが、少なくとも安倍公房は私にそうさせた。
「壁」を読んで、好きだな、と思った人は「夢の逃亡」もおすすめ。この人は本当に凄い。凄いとしか言いようがない小さな自分が、彼の言葉の前ではなぜだか心地良いのだから。
言葉とは、どこまで使いこなせるものなのだろうか。
一つの言葉には無限の受け取り方があって
その中から一番最適なものを見つけることは可能なのだろうか。
そして、数え切れない言葉の中から、自分が一番欲しい一つを掴み続けることは可能なのだろうか。