カオスとコスモス

ACIDMANの音楽は哲学的だ。
人間という個体から見た世界というよりは、
人間という個体を含んだ世界について描いている。
その広い広い世界に在る混沌や激情や寂寥を、音と言葉で掬いとっている。
それが透きとおっているから、だからこそ、ACIDMANの音楽はえぐい。
1stアルバム「創」はまだそこに強いエゴが残っているから、他の二つのアルバムよりいくらか優しい。
最新アルバム「equal」は無常感が剥き出しになっていて、私は、これを聴きながら独りで道を歩いていたら、ものすごい切なさに動けなくなった。
大木さん(ボーカル・作詞)は世界を解明しようとしているのか。それとも、世界を肌で感じているのか。
どちらにせよ、彼らの曲は、耳に染みついて強い残響を残す。
大木さんの声がこれまたすごい。彼らの描く世界を正確な声で再現している。
迫りくる、囁く、響き渡る、消えゆく、どれもこれも巧すぎて、悲愴感に溢れている。

創 (CCCD)

創 (CCCD)

造花が笑う、アレグロ、バックグラウンド、シンプルストーリー、降る秋