にじむ
春のにおいがした夜に絵を描いた
まだだ まだだ
でもすこしだけ、混ざってる
暗い夜に、冬の夜に、
すこしだけ混ざってる
みどりときいろとももいろ
始まりのわくわくではなをくすぐる
綺麗な紺に滲んだ桃色を見ていたら、すこし泣きそうになった
わすれるだろう
わすれるだろう
すぐに貴方は忘れるだろう
11月の海
やさしい波の音
目を腫らしたよる
川辺の温泉に入ったこと
すんと冷えた冬の空気
きもちわるいひびき
突然の怒り
わすれるだろう
あの布につつんで
すべすべの感触を目をつぶってたぐる
みつけた
やっとあなたを見つけた
一人でなんでもできるって、
でも一人じゃなんにもできないから、
すごくさみしい
すごくさみしい
そういうあなたを見つけた
あとはもう、いっしょだねって言えるから、だいじょうぶ
秋の朝
あたらしい自転車で走っていたら、お日様のさわさわとしずかな空気がすいすい私を進ませて、
ミルミルと名付けた白い自転車は喜んでいるみたいだった。
トワイライト
はっとするような夕焼けサンセット
世界の誰かが中心になって、今日も綺麗だねって呟いた
日が暮れたら終わりなら、太陽を追い続けたら終わらないのかしら
やがて眠くなって、誰かが布団をかけてくれる
ことを祈る
わかるだろう
わかるだろう
きみの夢のなか
だらだらしてる夢のなか
白いすべすべの肌
懐かしい映像
爽やかさ
レプリカみたいな蓮の花
わかるだろう
鮑の踊り焼きのおいしさ
焼きたてのピザのほくほく
わかるだろう
午後の暖かくてひろい後楽園
灰色の瀬戸内海
わかるだろう
草の蒸したかおり
寝そべってつなぐ手
よって世界がまわる
イチニ、イチニで川を下る
激流は楽しい、高いところから飛び込むことも
わかるだろう
そうやって夏は廻った